人気商売

 事務能力は高いがゼロから何かを生み出す事については能力が無い人がいる。ゼロから1を作るのが得意な人。1を10にするのが得意な人。さまざまなんだが、ゼロから1を作るのが不得手な人が、もとい、審美眼や才能に欠けた人がゼロから1を作ろうとしている様は滑稽だ。才能や、タレントを見る目の無い人間がプロデューサーの立場にモノ作りしちゃダメなんだよ。

 さて、人気商売は辛いね。自分ではどうにも出来ないもんね。金儲けしようと頑張って来た事が全てリセットされたからね。人を集めて成立してきたエンタテインメントは全て成立しない。神様の気まぐれで世界は一瞬にして一変した。

I hear a new world. But, so what?

 FMから流れて来たGrace Vanderwaalというアーティストの歌声がいいなと思った。調べたらもう世の中で話題になって結構時間が経っていた。知らなかったわ。で、CD買おうかなと一瞬思ったが、過去何度も経験した感じを思い出して辞めた。驚異の新人!すごい!でも買って10回も聴かずに飽きる。過去何度も何度も経験したあの感じ。

 圧倒的なニューカマーが出現しても「で?それがなに?」という世界。もしくは「すごいねー!」でタダで一度聴いてそれっきりの世界。エンタテインメントが以前のように金儲けできるかというとそれは難しいね。

時の試練

 私がこの20年~30年くらいの間好きだった音楽が最近どうでもよくなってきた。そういったCDを大量に捨てた。なんというか、20代の価値観でのみ通用した気持ちを音楽にしたものが自分に響かなくなってきた。自分の中の時の試練に耐えられなかったというか。その一方で、10代~20代の時に好きになった音楽でもいまだに好きなものもある。この差は何か。歌詞の言語によるものではない。

音楽は世界を変える

 音楽に世界を変える力は無いよ。音楽に世界を変える力があると思っている人がそうあって欲しいと願っているだけで、世界を変える力は無い。だいたい「音楽に世界を変える力がある」と言う人に限って、「自分は変わるつもりは無いが周りには変わって欲しい」というご都合主義な人が多いので辟易します。

ポップミュージック

 ロックとかポップミュージックって若者のものだからさ。若い時に熱中したものを一生やり続けるって無理があるんだよね。まず自分自身が同じ事をやり続けるのに飽きるし。新しい展開も出て来ないし。若い時に熱狂したものを一生の仕事にするのは後悔する事が多いよ。

不条理は常に訪れる

 とにかくもう音楽でお金を稼ぐ事は無理なんだわ。難しいんではなく、無理。2019年までに得たスキルは全て無になった。こういう事はよくあります。銀塩カメラからデジタルカメラに移行した時に町の写真屋さんが味わった悲哀と同じです。不条理な事は突然訪れるし、それは理屈で説明できるものでもない。これからはデジタルカメラの時代になる。今まで築いた写真用フィルムのスキルは捨てて新しい金儲けを考えよう、という方針で化粧品事業などに参入した富士フイルムのやり方が正しいのです。サンクコストは綺麗さっぱり忘れて新規事業に取り組んだ姿勢が正しいのです。失敗する可能性も大いにありました。実際、ボタンの掛け違えで倒産していたかもしれません。それでも、旧態依然の仕事では遅かれ早かれ行き詰まっていたのです。銀塩カメラが無い以上、いずれ倒産していたのです。それならば、と新しい事業を選んだ姿勢が正しいのです。

お目出度きメンタリティ

 インターネットに自分の面白いコンテンツをアップしたら世の中の話題になってお金を儲けられるだって?すごいね!

 でもみんなそれやってて、というか、それしかやれることないからみんなそれやってるけど、話題になるのは1,000のうち1つくらいだよ。いや、下手したら10,000のうち1つくらいかも。特に今コロナ下でタダの動画配信の洪水なんだよ。そもそも面白くもなんともない動画をアップしたって、何も付加価値は生まないよ。へー、と途中まで見て1分くらい見たらそれっきり。瞬間で忘れられる。価値があると思っているのはアップした自分だけさ。そもそもが価値が無いモノを知ってもらったって、価値が無い事には変わりがないんだよ。